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記帳に関する税制改正

所得税 法人税

令和4年の税制改正において、

「記帳義務を適正に履行しない納税者等への対応」として

1.記帳義務を適正に履行しない納税者への過少申告加算税等の加重措置

2.証拠書類のない簿外経費についての必要経費・損金不算入措置を創設

の二つが改正されました。

この二つは、記帳をきちんとしていない納税者に対して税額が増える改正項目になります。

1.記帳義務を適正に履行しない納税者への過少申告加算税等の加重措置

 税務調査の際に、

①帳簿の記帳がされていない

②帳簿が保存されていない

③帳簿が不十分

 これらの場合には、税務調査によって所得税・法人税・消費税について課税される過少申告加算税と無申告加算税について帳簿のレベルに応じて、さらに5%~10%加重されます。

 ただし、納税者の責めに帰すべき事由がない場合(災害等の場合)には適用しません。

 この改正は、令和6年1月1日以降に法定申告期限が到来するものから適用されます。

2.証拠書類のない簿外経費についての必要経費・損金不算入措置を創設

 事実の仮装・隠蔽がある又は無申告の年分において、
確定申告における所得金額の計算の基礎とされなかった間接経費の額(原価の額(資産の販売・譲渡に直接要するものを除く。)、費用の額及び損失の額)は、次の場合を除き、必要経費(損金の額)に算入しない。
①間接経費の額が生じたことを明らかにする帳簿書類等を保存する場合
②帳簿書類等により取引の相手先が明らかである・取引が行われたことが推測される場合であって、反面調査等により税務署長がその取引が行われたと認める場合

とされています。

 具体的には、税務調査において、申告をしなかった年や、売上を除外等をして申告した場合には、売上原価を除き、帳簿書類等がない場合等にはその費用を認めないということです。

 この改正は、令和5年分以降の所得税、令和5年1月1日以降開始する事業年度にかかる法人税について適用されます。

 

 この改正の前にも、令和3年分の所得税については、

 確定申告書に事業所得・不動産所得について記帳レベルを記入する「区分」欄が設けられています。こちらも個人の方の記帳レベルを把握するためと考えられます。

 これらの改正項目は、きちんと記帳をしている場合には全く影響のない改正項目です。

 このように、帳簿等に関する改正項目が続く背景には、税制調査会第6回総会(2021年11月19日)における「フリーランスの記帳実態」では「独立や副業のハードルが下がったことで会計リテラシーの低下を招いている」という表現があるように、法人に比べると、個人で独立した場合やフリーランスを開始した場合、副業を始めたは良いが、記帳レベルの低い方がいるという現状があるようです。

  国がこの現状を把握していることから、最近の記帳に関する税制改正が続いていると考えられます。また、記帳レベルが低いとみられる方には税務調査が多くなり、これらの改正項目から税額が多額になることも考えられます。

 多額の税金を払わないためにも、きちんと帳簿等や証拠書類も作成・受取、保存し確定申告をすることが重要になってくると考えられます。

 

税理士・中小企業診断士 根津信之

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