ブログ

iDeCoの税務上の扱いと注意点(2)

iDeCo

iDeCoの税務上の扱いと注意点(1)の続きになります。

今回は、iDeCoを一括で受け取る場合の税額計算をご紹介します。

(ポイント)iDeCoの受取と会社の退職金がある場合は、

iDeCoの一時金を先に受け取り、期間を開けてから(前年以前4年超)、退職金を受け取る方が良い。

iDeCoの一時金を退職金より後に受け取ったり、iDeCoと退職金の受け取り期間の間隔が短いと税金が発生する可能性がある。

 

(前提)

iDeCoの掛け金(加入期間30年) 23,000円×12か月×30年=828万円

会社の退職金(勤続期間39年) 1500万円

また、退職金を受け取る際の控除である退職所得控除は勤続期間(iDeCoの加入期間)

1年につき400,000円、20年を超えると1年につき700,000円になります。

1.iDeCo以外に退職金の無い方

退職所得控除は 30年の加入期間ですから、40万円×20年+70万円×10年=1500万円となります。

退職所得控除1500万円、iDeCoは828万円となり、退職所得控除の方が多いため、

iDeCoの受取の際には、全額、所得税・住民税はかかりません。

2.会社の退職金の前にiDeCoを受け取る場合

①iDeCo受取時

1.と同じで、退職所得控除は1500万円となります。

iDeCoは828万円ですから、iDeCoの受取の際には、全額、所得税・住民税はかかりません。

②退職金受取時

前回のiDeCoの受取から、前年以前4年超か、もしくは前年以前4年内に退職金を受け取るかどうかで計算が異なります。

前年以前4年超の場合には、退職所得控除の重複を考える必要はありません。

退職所得控除がそのまま使用できるので、40万円×20年+70万円×20年=2200万円となり、退職金に所得税・住民税は課税されません。

退職金をもらった日の、前年以前4年内にiDeCoを受け取っていた場合には、注意が必要です。

退職所得控除のうち828万円分を既に使っていますので、重複している期間の退職所得控除は使えなくなります。

退職所得控除は、40万円×20年+70万円×19年=2130万円から、iDeCoを受け取った際に使用した20年分の退職所得控除を差し引いて計算します。

退職金を受け取る際に使用できる退職所得控除は、

2130万円(39年分)-800万円(20年分)=1330万円となります。

結果、85万円が退職所得として課税されます。

3.会社の退職金を受け取った後にiDeCoを受け取る場合

①会社の退職金受取時

会社の退職金受取時は、

退職所得控除は 40万円×20年+70万円×19年=2130万円となります。

2130万円>1500万円となり、退職金の受取の際には、全額、所得税・住民税はかかりません。

②iDeCo受取時

iDeCoを一時金で受け取った場合には、前年以前14年内に退職金を受け取った場合に使用した退職所得控除のうち重複部分を除外して計算する必要がありますので、2.の時と同じように計算をしていきます。

前年以前14年内と期間が非常に長いので、iDeCoを退職金よりも後に受け取った場合には、ほぼ重複期間を計算する必要がありますので、注意が必要になります。

(税理士 中小企業診断士 根津信之)

関連記事

  1. 税制改正 令和5年分扶養控除等申告書「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」…
  2. 税制改正 記帳に関する税制改正
  3. 税制改正 令和6年分の定額減税
  4. 税制改正 住宅税制の令和3年度税制改正について
  5. 税制改正 令和3年分の所得税の確定申告の注意点
  6. 税制改正 子会社株式等の配当にかかる源泉徴収の改正
  7. iDeCo iDeCoの税務上の扱いと注意点(1)
  8. 税制改正 16歳未満の扶養親族と住民税の非課税について
PAGE TOP