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令和6年度の税制改正により、法人税における交際費の改正が行われました。
交際費から除外される「飲食費」の金額の判定の基準が、令和6年4月1日以降の飲食について1人あたり10,000円(令和6年3月31日までは5,000円)に引き上げられています。
飲食を伴う交際費は資本金の額に応じて法人税法上の費用(損金不算入といいます)にできる金額が異なります。
資本金が100億円超・・・全額費用として認められません。(全額損金不算入)
資本金が1億円超~100億円以下・・・半分が費用として認められます(1/2損金不算入)
資本金が1億円以下・・・1事業年度あたり800万円まで費用として認められます。(800万円を超える部分が損金不算入)ただし、飲食費等が多額の場合には資本金が1億円超~100億円以下の場合と同様に、半分を費用として計算する事も認められます。
つまり、中小企業についてはある程度は費用として認められますが、大企業になると交際費は法人税法上の費用になりません。
交際費は原則として課税されますが、法人税法上の交際費とならない飲食費というものがあります。
飲食費とは、得意先等の接待のための飲食にかかった費用(社内の役員等を接待するための社内飲食費は飲食費には入りません。)で、一人当たりの金額が下記の金額以下で、下記の1.~5.の事項を記載した書類を保存したものをいいます。
この一人当たりの金額が改正され、令和6年3月31日までは一人当たり5,000円、令和6年4月1日以降は一人当たり10,000円以下の金額となりました。
ちなみに金額の判定は法人の会計処理に応じて、税抜経理の場合には税抜金額、税込処理の場合には税込金額で判定を行います。
1.飲食等のあった年月日
2.飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
3.飲食等に参加した者の数
4.その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
5.その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項
上記の改正は、所得税には交際費について費用化がみとめられない規定(交際費の損金不算入といいます)がありませんので、個人事業主の場合には関係ありません。
個人事業主の場合には、交際費について金額の判定はありませんが、交際費が業務の遂行上必要であったことを明らかにできるようにしておく必要があります。
最後に、簡単にまとめると
〇交際費から除外される飲食費は、令和6年4月1日以降は一人当たり10,000円となる。
〇交際費に該当すると、
資本金は100億円超は全額課税される。
資本金1億円超~100億円以下は半分課税される。
資本金1億円以下は800万円までもしくは1/2まで課税されない。
となります。
今回の一人当たりの金額の引き上げは、大企業は交際費が法人税法上の費用とならない為、大企業ほど税負担が少なくなる制度となります。
また、中小企業においても交際費の金額が800万円をこえる場合には恩恵を受ける制度となっています。
そのため、交際費が多い法人の場合には、1人あたりの金額に注意し、かつ、書類を保存することにより法人税の負担を軽減できる制度となっています。
税理士・中小企業診断士 根津信之
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