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会社を設立するにあたって、設立する会社の形態を考えた時に、現在は主に、
1.株式会社で設立する場合
2.合同会社で設立する場合
の二つ選択肢があります。
合同会社は、比較的新しい会社形態であり、ご存じない方もいらっしゃると思います。この株式会社と合同会社は、似ているようで違いが多くありますので、今回は合同会社と株式会社の違いを中心に説明をしたいと思います。
1.株式会社と合同会社が同じ部分
①有限責任社員
合同会社とは、会社法上は、合資会社・合名会社と同じく持分会社の一つになりますが、合資会社・合名会社については、責任無限責任社員がいるのに対し、合同会社は株式会社と同じく「有限責任社員」しか存在しません。この部分においては株式会社と合同会社は似ている性格を持ちます。
②資本金額
株式会社、合同会社ともに、資本金はいくらでも金額を設定できます。ただし、少なすぎる資本金は借入の際に苦労したり、信用力が少なくなるので注意が必要です。税務的には1億円をこえると、中小企業の多くの特例が使えなくなります。
③人数
株式会社、合同会社ともに、1人いれば会社を設立することができます。
④税金
法人税や消費税などの税金は、株式会社でも合同会社でも違いはありません。
2.株式会社と合同会社が違う部分
①出資者と経営者(役員)
株式会社は、出資者と経営者が別(同じでも良い)であり、経営者は出資する必要が無いのに対し、
合同会社は出資者と経営者が同じである必要があり、経営者は出資する必要があります。このことから、出資者は経営者にもなります。
②役員の名称
株式会社の役員は、「取締役」 (指名委員会等設置会社の場合には執行役)と呼ばれます。
合同会社の役員は、「社員」と呼ばれます。
③代表者の名称
株式会社の代表者は、代表取締役(指名委員会等設置会社の場合には代表執行役)となります。
合同会社の代表者は、「代表社員」となります。
④役員の任期
株式会社の役員の任期は、2年~10年と期限が決まっています。
合同会社の役員の任期はありません。
⑤決算公告
株式会社は、決算の広告をすることが義務付けられています。
合同会社は、決算の広告をすることが義務付けられていません。
⑥配当
株式会社は、原則として、出資比率に応じて配当を受ける権利を有します。
合同会社は、出資割合によらない配当をすることができます。
⑦議決権
株式会社は、原則として、出資比率に応じた議決権を株主が有します。
合同会社は、出資額によらず、社員一人に対して一つの議決権になります。
⑧信用力
株式会社は一般的に認知度が高いため、信用力が高く
合同会社は、認知度が低く、信用力が低い傾向にあります。
⑨設立費用
株式会社の設立費用は、定款認証費用・登録免許税がかかるため、合同会社に比べると高くなります。
合同会社の設立費用は、定款認証費用・登録免許税が少ないため、株式会社に比べると少なくなります。
株式会社と合同会社のメリット・デメリット
株式会社の場合には、⑨設立費用も高く、④役員の任期もあり、⑤決算公告もしなければならないことから、合同会社に比べると、コストがかかります。一方で、株式会社は会社としての信用力が高くなります。また、代表取締役以外の方が出資しても、50%超の議決権を代表取締役が有していれば、安定して経営を行う事ができます。
合同会社の場合には、運営コストや設立コストは安いものの、認知度が低く、社会的な信用力が低くなりがちです。また、合同会社の場合、出資者が多くなると議決が1人一票のため、意見をまとめるのに苦労をする可能性がでてきます。さらに、追加で出資した方も役員になる必要がでてくるため、出資者が多くなると会社運営に支障をきたす可能性がある点に注意が必要です。
これらの違いに注意して、会社設立の検討をしていただければと思います。
(税理士・中小企業診断士 根津信之)
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